私のミスド偏愛

 私はミスタードーナツ(以下ミスド)が好きです。主力製品であるドーナツが好きなのは言うまでもありませんが、その他のサービス、店内の空間、全て含めて好きです。

 まず、ミスドは飲み物のおかわりができるところがいいです。無料でおかわりができるコーヒーチェーンは滅多にありません。おかわりの良さは、飲み物がたくさん飲めるということだけではないです。おかわりがあるから、ミスドでお客さんはのんびりできます。その証拠に、コーヒー一杯の値段が安い分おかわりができない他のチェーンはお店がせかせかした雰囲気のような気がします。
 ミスドではお客さんの雰囲気につられてお店の人も少しゆるいです。カウンターの奥から店員さん同士の会話が結構聞こえたりします。私語が聞こえるのが他のお店なら私も顔をしかめてしまうでしょうが、ミスドでは私の気分が緩んでいるのでお店の人がゆるくても気になりません。聞こえた会話の内容に、「へえ、ミスドの店員さんはまかないで飲茶が食べられるんだなあ。」と思ったりします。


 次に、ミスドはちょっとださいです。ドーナツやお店の内装の一つ一つのデザインが明らさまにださいわけではありません。全てがまとまったときに、なんとなくあかぬけないのです。例えば、こんなところです。私はミスドの飲茶メニューが好きでしばしば食べに行きます。そして、今年の夏と秋の商品の具がほとんど一緒であることに気がついてしまいました。この食材をやりくりしている感じは少しださいのですが、気づいたときにクスッと笑えてなんだか愛しいですし、お店の努力を感じさせて好印象です。


 ぱっと見は微妙にださいミスドですが、店内でゆったり過ごしていると、BGMは意外にすごくかっこいいことに気がつくでしょう。ミスドにあまり行かない方は流行りのJ-popが流れていると思っているかもしれません。実際は、年代物のロックとかソウルとかがミスド独自に選曲されて流れています。BGMに対する力の入れ具合は、お店の公式サイトで店内BGMの曲目が配布されているところからうかがえます。選曲が私の音楽的嗜好にドンピシャなので、新しい曲との出会いの場としても私はミスドを楽しんでいます。


 ここまでミスドへの愛を語ってきて、さらに文章の冒頭で“主力製品であるドーナツが好きなのは言うまでもありません”とまで言っておいて大変言い出しにくいのですが、私はミスドのドーナツについてあまり詳しくありません。いつもストロベリーリングしか食べないからです。私にとってのストロベリーリングのような“お決まり”がある人は多いのではないかと思います。人の“お決まり”にはその人らしさが表れている気がして、これを尋ねるのが私は好きです。つい最近も、憧れの先輩に質問してみました。彼の答えは「メープルスティック」。早速ミスドに走り、メープルスティックを探してみて驚きました。メープルスティックはなんと3種類もあったのです。迷った末に、一本だけ残っていた砂糖がけのものを選びました。後で聞くと彼が好きなのは砂糖のかかっていないものだったそうです。私の予想は外れてしまいましたが、メープルスティックの味は私的にアタリでした。ゴツゴツした見た目からは想像できない程しっとりとしたバターが香る生地にメープルペーストが挟まれていて、優しい味。デコレーションがされておらず他の商品に埋もれて目立たないこのドーナツと、先輩はどうやって出会ったのでしょう。いけずだと思っていたけれど、こんな素朴なドーナツがお気に入りだなんて先輩は実は優しい人なのではないかしら・・。このような性格診断(妄想)ができるのは、“お決まり”ができるくらいミスドが日本人の生活に溶け込んだ存在であるからこそだと思います。


 最後に、私はミスドと同じくらい短歌が好きなので、ミスドを詠んだものを紹介して締めくくりたいと思います。私が大好きなあのお店の雰囲気が凝縮された一首です。


 スタバよりミスドがいいねぼそぼそと暗くないこと話したいとき(岡野大嗣)
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